2026年10月8日(水)、ごうホームクリニック 認定栄養ケア・ステーションの管理栄養士が、本町公民館で「今日からできる『食』の備え ~災害が起きても、食べることをあきらめない~」と題した講座を開きました。
地震などで電気・ガス・水道が止まったとき、冷蔵庫の食品はどうするか。水が少ないときはどうするか。火が使えないとき、食欲がないとき、薬を飲むための食事や水分はどう確保するか。災害時の食事には、ふだんの生活では考えない困りごとがいくつも重なります。
講座では、こうした場面を思い浮かべながら「まずはここから」という5つの備えを確認し、少ない水で調理できるパッククッキングでご飯と蒸しパンを作りました。アルファ化米を野菜ジュースで戻したリゾットとあわせて、参加者の皆さんに試食していただいています。
この記事では、当日お伝えした内容とレシピをそのまま紹介します。ご自宅の備えを見直すきっかけにしてください。
目次
■災害時の食の備え|まずはここから5つの備え
◎「特別な非常食」だけに頼らない
災害への備えというと、乾パンや長期保存の非常食を思い浮かべる方が多いかもしれません。講座でお伝えしたのは、水・食べ慣れた食品・道具を備え、元気なうちから確認しておくことです。「食べる・飲む」を無理なく続けることが、災害時の体調を守る土台になります。
◎当日確認した5つの備え
| 備えるもの | 具体例・覚えておきたいこと |
|---|---|
| ① 水 | 1人1日3Lを目安に、最低3日分、できれば7日分の飲み水・調理用水を。湯せん・洗い物用の水は別に準備 |
| ② 食べ慣れた食品 | パックご飯・缶詰・レトルト食品・乾物・お菓子など。火や水なしで食べられる食品も |
| ③ 食べやすい食品 | お粥など、やわらかく食べ慣れたものを。飲み込みが不安な方は、普段の食事形態で |
| ④ ローリングストック | 少し多めに買う → 古いものから食べる → 買い足す |
| ⑤ 調理道具 | ラップ・アルミホイル・ウェットティッシュ・紙皿・紙コップ・割り箸・スプーン・キッチンばさみ・鍋・湯せん対応ポリ袋・カセットコンロ・ガスボンベ(ご家庭の状況にあわせて) |
参考:農林水産省「大事な水、どうやって備えますか?」/大阪市「災害時の食の備え」/名古屋市 公式ウェブサイト
◎ローリングストックで「いつもの食品」を備えにする
ローリングストックは、ふだん食べている食品を少し多めに買い置きし、古いものから食べて、食べた分を買い足す方法です。賞味期限切れを防げるうえ、災害時にも食べ慣れた味で食事ができます。
少し多めに買う
パックご飯・缶詰・レトルトなど、ふだん食べるもの
古いものから食べる
日常の食事で使い、期限切れを防ぐ
買い足す
食べた分を補充し、いつも一定量を家に置く
◎飲み込みに不安がある方の備え
飲み込みが不安な方は、非常時だけ食事の形を変えると食べにくくなることがあります。お粥など、やわらかく食べ慣れたものを、普段の食事形態のまま備えておくことをおすすめしました。とろみ剤など普段使っているものがあれば、それも備蓄に加えてください。
■パッククッキングとは|少ない水でできる災害時の調理法
◎ポリ袋に入れて、袋のまま湯せんする
パッククッキングは、食材を湯せん対応のポリ袋に入れ、袋のまま鍋で加熱する調理方法です。
- 少ない水で調理できる
- 鍋や食器を汚しにくい
- 一つの鍋で複数の料理を同時に作れる
断水時は洗い物の水も貴重です。鍋のお湯は袋の外側にしか触れないため、繰り返し使えます。
◎基本の4ステップ
- 入れる:材料と調味料を、湯せん対応の高密度ポリエチレン袋へ入れる。
- 空気を抜く:水圧などを使って空気を抜き、袋の上の方を結ぶ。
- 湯せんする:袋が鍋底や鍋肌に触れないように加熱する。
- 取り出す:箸やトングなどで取り出す。袋を開けるときは蒸気とやけどに注意する。
◎安全に作るために必ず確認すること
- 食品用の「湯せん対応」の袋を使う
- 袋が鍋底・鍋肌に直接触れないように注意する
- 手や器具を清潔にし、やけど・アレルギー・食べやすさに気をつける
■当日の実習・試食レシピ
当日はパッククッキング2品と、アルファ化米のアレンジ1品を用意しました。①②は瀬戸保健所管内栄養士会研修会レシピ集を参考にしています。計量カップがない場面を想定し、分量はヤクルトの容器で量る目安も添えました。
① ポリ袋で炊くご飯(お茶碗2杯分)
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| 米 | 100g(ヤクルト容器2杯) |
| 水 | 200ml(ヤクルト容器3杯) |
- 米は洗わず、水と一緒に袋へ入れる
- 空気を抜いて袋の上部を結ぶ
- 湯せんにかけ、沸騰後約40分加熱する
- 取り出して10分蒸らす
水の量を加減すると、お粥を炊くこともできます。
② ポリ袋で作る蒸しパン(2人分)
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| ホットケーキミックス | 100g |
| 卵 | 1個 |
| 油 | スプーン1杯 |
| 牛乳 | 65ml(ヤクルト容器1杯) |
- 袋に卵を入れ、袋の上から揉んで卵を潰しておく
- 牛乳と油を入れて混ぜ、ホットケーキミックスを加えて揉み合わせる
- 空気を抜いて袋の上部を結び、湯せんにかけて沸騰後約30分加熱する
③ アルファ化米の野菜ジュースリゾット
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| 白米(アルファ化米) | 1袋 |
| 野菜ジュース | 規定の線まで |
| 塩(お好みで) | ひとつまみ |
- 袋を開けて、脱酸素剤とスプーンを取り出す
- 常温の野菜ジュースを規定の線まで入れる
- すぐに混ぜてチャックを閉め、約80分たったらよく混ぜる
水の代わりに野菜ジュースを使うことで、備蓄食で不足しがちな野菜の栄養も補えます。外気温などで戻り方が変わるため、戻し時間は調整してください。
◎試食で確かめたこと
試食では「味・硬さ・量はどうか」「ご自宅でも作れそうか」を一人ひとりに確かめていただきました。災害時にも食べられる料理を、ふだんから一度作って食べておくと、いざというときに慌てずにすみます。
■リフレッシュブレイク|合図に合わせて動く防災エクササイズ
◎災害時に体を動かす理由
避難所や車の中など狭い場所で長時間動かずにいると、足の血流が悪くなります。長く座り続けず、無理のない範囲で体を動かすこと、運動の前後に水分をとることが大切です。講座の途中で、頭を休めてからだを少し動かす時間をとりました。
◎当日行った8つの動き
| 合図 | 動き |
|---|---|
| 「地震!」 | 膝を曲げて低くなり、頭を守る → 立つ |
| 「避難!」 | その場で大きく足踏み20回 |
| 「階段!」 | 膝を高く上げる足踏み20回 |
| 「坂道!」 | つま先立ち+腕を大きく振る |
| 「荷物を持って!」 | 両手を前に出して、スクワット |
| 「水を取りに行く!」 | 大きな足踏み+腕を振る |
| 「しゃがんで物を拾う!」 | スクワット |
| 「急いで避難!」 | その場で高速足踏み |
◎安全に行うために
- 無理をしない。椅子に座ったままでもかまいません
- 痛み・息苦しさ・めまいがあるときは、すぐに中止してください
- 運動に注意が必要な方は、普段の注意点を優先してください
■今日からできる食の備えチェック
◎ご自宅で確認したい2つのこと
講座の最後に、持ち帰っていただくチェック項目を確認しました。
- 備蓄を確認する:水は1人1日3L×最低3日分あるか。カセットコンロのガスボンベ、湯せん対応ポリ袋はあるか
- 食べ慣れた食品を大切にする:ローリングストックで、ふだん食べているものを少し多めに置いておく
◎食事や栄養の困りごとは管理栄養士へ
ごうホームクリニックは認定栄養ケア・ステーションとして、管理栄養士が地域での講座や、ご自宅での栄養相談に取り組んでいます。飲み込みにくさや食欲の低下、介護食の備えなど、ご本人やご家族だけで判断しにくいことがあれば、お気軽にご相談ください。
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ごうホームクリニック
院長 伊藤剛

