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在宅介護で家族が知っておきたい「急変サイン」7つと対応の流れ

親の顔色がいつもより悪い。そんな「なんとなく変」という直感は、大切なサインです。

実は、急変の多くは数時間〜数日前から小さな変化として現れます。早めに気づけるかどうかで、その後の経過が大きく変わります。

しかし、「救急車を呼ぶほどでもないかも」と迷い、対応が遅れてしまうご家族も少なくありません。

この記事では、ごうホームクリニックが家族介護者向けに、急変の7つのサインと具体的な対応手順、そして「呼吸数」「SpO2」「体重」といった数字で判断する目安まで、わかりやすくまとめました。

🎧 この記事の元になったpodcast

ごうホームクリニックでは在宅医療・介護の知識をpodcastで配信しています。本記事のテーマをpodcastで詳しく解説していますので、あわせてご視聴ください。

 

■本記事の要点

本記事の核となるポイントです。

  • 「なんとなく変」という直感を絶対に見逃さない(医学的にも的中率が高いことが分かっています)
  • 急変サインは顔色・呼吸・意識の3点をまず確認する
  • 高齢者は「熱が出ない急変」が多い。「元気がない・ぼんやり・食べない」の3点セットに注意
  • 呼吸数・SpO2・体重など、数字で見ると迷いが減る
  • 迷ったときこそまず訪問診療医・訪問看護に電話(在宅医療を受けている方は、ここが相談の入口です)
  • ごうホームクリニックは24時間365日電話で相談できる

 

■急変とは?在宅介護で起こりやすい「変化」の種類

急変とは、急に体の状態が悪くなることです。 しかし、在宅介護では「劇的に倒れる」ケースだけが急変ではありません。

たとえば、食欲がいつもより落ちている。呼びかけへの返事が少し遅い。そういった「小さなずれ」が積み重なって、急変につながることが多くあります。 つまり、急変は「突然」というより「じわじわ近づいてくる」ものです。

在宅介護では、家族が最も近くで変化を観察できます。 そのため、家族の気づきが早期発見の鍵を握っています。実際、ご家族が「いつもと違う」と感じたとき、その背景に医学的な問題が隠れている確率は高いと複数の研究で報告されています。

 

■見逃しやすい急変の「7つのサイン」

在宅介護 急変サイン|ごうホームクリニック 本文イメージ

次の7項目を日頃からチェックする習慣をつけましょう。 特に、複数のサインが重なるときは要注意です。

① 意識・反応の変化

呼びかけても反応が薄い。目線が合わない。いつもより眠り続けている。 これは脳や全身状態の悪化を示すことがあります。

  • 高齢者では、尿路感染症や脱水でも「急に認知症が進んだ」ように見えることがあります(夕方〜夜間に悪化しやすいのが特徴)。
  • 「数日前から急にぼんやりしてきた」という変化は、認知症の進行ではなく体の異常のサインかもしれません。

② 呼吸の変化

速い・遅い・不規則・いびきのような音がする。 なかでも「ゼーゼー・ヒューヒュー」という異音は緊急性が高いサインです。

  • 呼吸数の増加は、急変の最も早い段階で現れる指標といわれます。感染症でも発熱しないことがあるため、まず呼吸を見るのが有効です。
  • ソファに浅く腰掛けて前傾になる、クッションを抱えて座る、枕を高くしないと苦しい——こうした姿勢は心不全による起座呼吸のサインのことがあります。

③ 顔色・皮膚の変化

青白い・土気色・唇や爪が紫がかっている(チアノーゼ)場合は注意が必要です。 また、急に顔が真っ赤になる・冷や汗が出るのも見逃せません。

  • 唇や爪のチアノーゼは、体内の酸素不足を示す危険なサインです。すぐに連絡してください。

④ 体温の急激な変化

高熱(38.5℃以上)や、逆に体が冷たすぎる場合も要注意です。 特に高齢者は、熱が出にくいことがあるため、低体温(36℃未満)にも注意しましょう。

  • 平熱より0.5℃高いだけでも、高齢者では肺炎や感染症の始まりのことがあります。「普段の平熱」を知っておくことが大切です。

⑤ 排泄の変化

急に尿量が減る・色が濃くなる・尿のにおいが強くなる・血尿が出る。 また、下痢・嘔吐が続く場合は脱水のリスクが高まります。

  • 尿の色が濃い黄色〜茶色になる、わきの下が乾いている——これらは脱水の早期サインです。

⑥ 痛みや苦しさの訴え

「胸が痛い」「お腹が急に痛い」という訴えは見逃さないでください。 認知症の方は言葉で伝えられないこともあるため、表情や動作の変化を観察しましょう。

  • 「顔をしかめる」「体の一部をかばう」「触ると嫌がる」なども、言葉にできない痛みのサインです。

⑦ 「なんとなく変」という家族の直感

実は、このサインが最も重要かもしれません。 ごうホームクリニックでは、ご家族のこの直感を大切にしています。説明できなくても、迷わず連絡してください。

  • 毎日そばで見ているご家族の「いつもと違う」という感覚は、検査値より早く異常を捉えることがあります。うまく言葉にできなくて構いません。

 

■「熱が出ない急変」に要注意|元気がない・ぼんやり・食べないの3点セット

高齢者の急変で最も見逃されやすいのが、「熱が出ないタイプ」です。 若い人なら高熱が出るような感染症でも、高齢者は体温が上がりにくく、代わりに「元気がない・ぼんやりする・食べない」という形で現れます。

代表的なのが次の3つです。

  • 誤嚥性肺炎:高熱が出ず、「声がかすれる」「むせが増える」「デイサービスに行きたがらない」「日中も寝てばかり」といった変化で始まることがあります。
  • 尿路感染症:排尿時の痛みなど典型的な症状が出ないことが多く、「急にぼんやりした」「布団から出てこない」「尿のにおいが強い・濁っている」が手がかりになります。
  • 薬剤による不調:新しく薬が増えた後の「ふらつき・転倒」「強い眠気」「食欲低下」は、薬が原因のことがあります。薬の変更時期と症状が出た時期を照らし合わせてみましょう。

若い人の感染症

高熱・寒気など
分かりやすい症状が出る

高齢者の感染症

熱が出ず
「元気がない・ぼんやり・食べない」

⚠️ 「熱がないから大丈夫」とは限りません

 

■数字で見る急変サイン|呼吸・SpO2・体重の早見表

「なんとなく変」を、できるだけ客観的な数字で確認できると、連絡するかどうかの迷いが減ります。 ご家庭で測れる範囲の目安をまとめました。あくまで一般的な目安であり、当てはまらなくても「いつもと違う」と感じたら連絡してください。

項目 だいたいの正常範囲 連絡を考える目安
呼吸数 12〜20回/分 20回/分以上が続く(30回/分以上はすぐ連絡)
SpO2(血中酸素) 96%以上 93%以下、または普段より3〜4%低い
脈拍 60〜90回/分 100回/分以上の頻脈、50回/分以下の徐脈
体温 普段の平熱 平熱+0.5℃以上、または36℃未満
体重 普段の体重 2〜3日で2kg以上の増加(心不全のうっ血サイン)
血圧(収縮期) 普段の値 普段より20〜40mmHg以上の低下

※数値はあくまで目安です。数字が正常でも、ぐったりしている・顔色が悪いなど「全体の様子」がいつもと違うときは、数字より「印象」を優先してください。

 

■サインに気づいたら:家族がとるべき3ステップ

急変のサインに気づいたとき、落ち着いて次の3ステップを踏みましょう。

ステップ1:慌てず、楽な姿勢にする まず、ご家族自身が落ち着くことが大切です。あわてて動かすと、かえって負担になることもあります。 無理に寝かせる必要はありません。呼吸が苦しそうなときは上体を起こした姿勢のほうが楽になりますし、吐き気や嘔吐があるときは横向きにして、のどに詰まらないようにします。そのうえで、そばで見守りましょう。

ステップ2:状態を観察・記録する 次に、今の状態を素早く確認します。 意識があるか・呼吸しているか・体温・顔色の4点を確認し、メモしましょう。可能なら呼吸数やSpO2も測っておくと、医師に正確に伝えられます。

ステップ3:訪問診療医・訪問看護に連絡する そのうえで、すぐに主治医、または訪問看護ステーションへ電話します。夜間や休日でも、まずは在宅医療チームが窓口です(訪問看護師がいったん状況を確認し、必要に応じて医師へつなぐこともあります)。 ごうホームクリニックは在宅療養支援診療所として、24時間365日電話での相談に対応しています。

 

まずは状況を整理して相談できます

通院が難しい、介護負担が増えたなど、判断に迷う段階でもご相談いただけます。

LINEで相談

■救急車を呼ぶべきタイミング|#7119・在宅医・119番の使い分け

「救急車を呼ぶべきか」は、最も迷いやすい判断のひとつです。 次のいずれかに当てはまる場合は、ためらわずに119番してください。

  • 意識がない・呼びかけに全く反応しない・もうろうとしている
  • 呼吸が止まっている・非常に苦しそう・唇や顔が紫色
  • けいれんが止まらない、または止まっても意識が戻らない
  • 大量出血がある
  • 突然の激しい胸痛・腹痛・頭痛
  • 顔の片側がゆがむ・ろれつが回らない・手足に力が入らない(脳卒中のサイン)

一方で、これらに当てはまらない「いつもと違う」段階こそ、在宅医療の出番です。 在宅医療を受けている方は、迷ったらまず訪問診療医・訪問看護ステーションに電話してください。電話で状況を伝えると、救急搬送が必要か、訪問看護師の緊急訪問や医師の往診で対応できるかを一緒に判断できます。「呼ぶほどか分からない」を相談できる相手がいること——それが在宅医療を受けている最大の安心です。

なお、まだ在宅医療を受けていない方や、かかりつけにすぐ連絡がつかない場合は、救急安心センター#7119が頼りになります。 名古屋市では24時間365日、看護師などが「救急車を呼ぶべきか」「今すぐ受診すべきか」をアドバイスしてくれます(つながらないときは052-951-7119)。

① 命に関わるサイン

意識がない・呼吸困難・チアノーゼ・大量出血
→ すぐ119番

② いつもと違う・判断に迷う

食べない・元気がない・微熱・浮腫・呼ぶほどか分からない
→ 在宅医・訪問看護に電話
(24時間365日)

③ まだ在宅医がいない

相談できる主治医がいない
→ #7119 に相談

在宅医療を受けている方は、迷った時点で②に相談できるのが強みです

 

■急変を未然に防ぐ:日常の「小さな観察」のコツ

急変を防ぐためには、毎日の観察の積み重ねが大切です。 特に効果的なのが「普段の状態を基準にする」ことです。その方の「いつも」を知っているのは、一番近くにいるご家族です。

おすすめは、次の4項目を毎日かんたんに記録することです。難しい医療知識はいりません。

  • 体重:毎朝同じ時間・同じ服装で測り、カレンダーに記入。2〜3日で2kg増えたら連絡(心不全のむくみのサイン)。
  • 尿の色とにおい:濃い・濁る・においが強いときは脱水や感染のサイン。
  • 夜間の様子:夜中に起きる回数、枕を高くしないと苦しそう、ソファで寝ることが増えた、など。
  • 食事量:何をどれくらい食べたか。「軟らかいものばかり選ぶ」も嚥下機能低下のサインです。

数値そのものより、「いつもとの差」を見ることが大切です。 加えて、ケアマネジャーやヘルパー、訪問看護師とこまめに情報共有することも重要です。複数の目で見守ることで、見逃しを減らすことができます。

 

■実例で見る|家族の「気づき」が早期発見につながったケース

ごうホームクリニックの在宅医療の現場でも、ご家族の小さな気づきが早期対応につながった例は数多くあります(個人が特定されないよう内容を一部変更しています)。

「認知症が急に進んだ」と思ったら心不全だった 娘さんから「この1週間、急に認知症が悪化した気がする。夜中に何度もトイレに行き、食事も減った」とご相談がありました。訪問すると体重が前回より2.5kg増え、足にむくみがあり、酸素の値も下がっていました。往診で心不全の悪化と分かり、薬を調整したところ、1週間後にはぼんやりしていた様子も元に戻りました。入院せず、ご自宅で対応できたケースです。

「いつもの風邪」が誤嚥性肺炎だった 「月曜は食欲がなく、水曜はデイサービスを休み、木曜の朝は元気がない」というご家族の連絡で訪問。熱はほとんどありませんでしたが、呼吸が普段より速く、酸素の値も下がっていました。誤嚥性肺炎と分かり、早めに治療を開始できました。「デイを休んだ」という行動の変化が、重要なサインだったのです。

いずれも、ご家族の「なんとなく変」という気づきがなければ、発見が遅れていたかもしれません。

 

■ごうホームクリニックの急変対応:24時間365日の安心をご家族へ

ごうホームクリニックは、在宅療養支援診療所として24時間365日の電話対応・往診体制を整えています。これは制度上の施設基準でも求められている体制で、深夜や休日に「なんとなく変」と感じたときも、すぐに相談できます。

ご相談を受けると、まず電話で状況をうかがい、訪問看護師の緊急訪問で対応できるか、医師の往診が必要か、あるいは救急搬送が望ましいかを一緒に判断します。 地域の多職種チームと連携しているのも特徴です。

  • ヘルパー:最初に異変に気づく「最初の目」
  • 訪問看護師:電話での状況確認・緊急訪問・バイタル測定・医師への報告
  • 医師:報告をもとに往診や処方の判断
  • ケアマネジャー:チーム全体への情報共有
  • 薬剤師:薬の見直し・飲み合わせの相談

こうしたチームで動くことで、本来なら救急搬送になりかねないケースを、ご自宅で対応できることも少なくありません。 ごうホームクリニックは名古屋市16区に加え、日進市・東郷町・豊明市・刈谷市・知立市を訪問エリアとしています。

 

■急変時の「事前準備」:今日からできる3つのこと

急変は、いつ起こるかわかりません。 だからこそ、落ち着いているうちに準備しておくことが重要です。

① 緊急連絡先メモを作る

訪問診療医・ケアマネ・訪問看護師の電話番号と、#7119を一枚にまとめます。 冷蔵庫や電話の近くに貼っておくと、慌てずに済みます。

② かかりつけ医と「急変時の方針」を話し合っておく

救急搬送を希望するか・在宅で対応するかを、事前にご家族で話し合いましょう。 ごうホームクリニックでは、このような話し合い(アドバンス・ケア・プランニング)もサポートしています。

③ 日頃から「普段の状態」を記録する

体温・血圧・食事量などを簡単なノートに記録しておきます。 これがあると、急変時に医師へ「普段との違い」を正確に伝えられます。

 

■「見えない介護」をしているご家族へ

在宅で家族を介護する毎日は、外からは見えにくい大変さがあります。気を張り続け、「自分が見逃したら」というプレッシャーを感じている方も多いはずです。こうした「見えない介護」の負担と向き合うご家族の心構えについては、別の記事でも詳しくお伝えしています。

でも、どうか覚えておいてください。 すべてのサインに気づけなくても、自分を責める必要はありません。むしろ、毎日そばにいるご家族が感じる「なんとなく変」という直感は、医学的にも信頼できる、とても価値のある情報です。

その直感を、ひとりで抱え込まずに私たちに渡してください。 「こんなことで電話していいのかな」とためらう必要はありません。早すぎる相談で困ることはありません。むしろ、早めのひと声が、ご本人とご家族の安心につながります。

 

■よくある質問(FAQ)

ご家族から訪問診療の現場でよくお寄せいただく質問をまとめました。

◎Q1. 夜中に様子がおかしいと感じたら、すぐ救急車を呼ぶべきですか?

まず訪問診療医、または訪問看護ステーションに電話してください。ごうホームクリニックは24時間365日対応しています。夜間は訪問看護師がいったん状況を確認し、必要に応じて医師の往診につなぐこともあります。電話で状況を伝えると、救急搬送が必要か、在宅で対応できるかを一緒に判断できます。意識がない・呼吸が苦しそう・唇が紫色などの場合は、迷わず119番してください。

◎Q2. 急変サインと「いつもの体調不良」の見分け方はありますか?

「普段と違う」感覚が重要です。特に、呼びかけへの反応が鈍い・呼吸が荒い・顔色が急に悪くなった場合は要注意です。呼吸数やSpO2を測れると、より客観的に判断できます。迷ったときは、遠慮せず主治医に連絡しましょう。

◎Q3. 熱がなければ様子を見て大丈夫ですか?

いいえ、高齢者は感染症でも熱が出にくいことがあります。「元気がない・ぼんやりする・食べない」が続くときは、熱がなくても連絡してください。誤嚥性肺炎や尿路感染症が隠れていることがあります。

◎Q4. 訪問診療を受けていない場合でも相談できますか?

まずはかかりつけ医や救急相談窓口(#7119)にご連絡ください。ごうホームクリニックへの訪問診療の新規お申し込みについては、お気軽にお問い合わせください。

◎Q5. 急変時に家族が慌てないためにできる準備はありますか?

緊急連絡先(訪問診療医・ケアマネ・#7119)をまとめたメモを冷蔵庫に貼っておくのが効果的です。また、日頃から体温・体重・食事量など「普段の状態」を記録しておくと、変化に気づきやすくなります。

◎Q6. 名古屋市外でもごうホームクリニックの訪問診療を受けられますか?

ごうホームクリニックは名古屋市16区に加え、日進市・東郷町・豊明市・刈谷市・知立市も訪問エリアです。お住まいのエリアが対応可能か、まずはお問い合わせください。

◎Q7. 急変後に「在宅での看取り」を続けることはできますか?

可能です。ただし、ご本人とご家族の意思確認が大切です。ごうホームクリニックでは、急変後も在宅での療養継続を希望される場合、多職種チームで継続的にサポートします。

 

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ごうホームクリニック 院長 伊藤剛

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