2026年10月1日から、75歳以上の方を対象に、新しい高用量インフルエンザワクチン「エフルエルダ」が定期接種(公費助成の対象)に加わる予定です。
親御さんのインフルエンザ予防接種について、「今年から何が変わるの?」と気になっているご家族も多いと思います。実は、エフルエルダの定期接種は従来の65歳以上ではなく「75歳以上」が対象です。
この違いを知らないまま秋を迎えると、接種の窓口で戸惑ってしまうかもしれません。しかし、ポイントを押さえれば難しい制度ではありません。
この記事では、名古屋で訪問診療を行うごうホームクリニックが、エフルエルダの特徴・効果・副反応と、名古屋市の公費助成の見通しをわかりやすく解説します。
目次
■本記事の要点
本記事の核となるポイントです。
- 2026年10月1日から、エフルエルダが75歳以上の定期接種に導入される予定
- 抗原量が従来の4倍の高用量ワクチンで、筋肉注射で接種する
- 海外の大規模試験で、標準量に比べ発症を約24%減らしたと報告されている(出典は記事末尾)
- 60〜74歳の方がエフルエルダを希望する場合は、原則全額自己負担の任意接種となる見込み
- 名古屋市の2026年度の自己負担額など詳細は現時点で未発表。夏頃の公表が見込まれる
■エフルエルダとは?従来のインフルエンザワクチンとの違い
エフルエルダ(エフルエルダ筋注)は、高齢者向けに開発された高用量のインフルエンザワクチンです。2026年10月からの定期接種導入を前に、まず従来のワクチンとの違いを整理します。
◎抗原量が従来の4倍
エフルエルダには、従来の標準量ワクチンの4倍のワクチン成分(抗原)が含まれています。なぜ量を増やすのかというと、年齢を重ねると免疫の反応が弱くなり、標準量では十分な抗体が作られにくくなるためです。つまり、免疫がつきにくい高齢の方でも、しっかり抗体を作れるよう設計されたワクチンです。

◎皮下注射ではなく筋肉注射
もうひとつの違いは打ち方です。従来のインフルエンザワクチンは皮膚の下に打つ「皮下注射」が一般的でした。一方、エフルエルダは肩の筋肉などに打つ「筋肉注射」です。新型コロナワクチンと同じ打ち方、といえばイメージしやすいと思います。
◎従来ワクチンとの比較表
| 項目 | 従来の標準量ワクチン | エフルエルダ |
|---|---|---|
| 抗原量 | 標準量 | 標準量の4倍 |
| 接種方法 | 皮下注射 | 筋肉注射 |
| 定期接種の対象 | 65歳以上など | 75歳以上(2026年10月から・予定) |
| 60〜74歳の扱い | 65歳以上は定期接種 | 任意接種(全額自己負担)となる見込み |
■なぜ75歳以上に?高用量ワクチンの効果
「わざわざ新しいワクチンに変える意味はあるの?」と疑問に思う方もいらっしゃると思います。ここでは、エフルエルダの効果に関するデータをご紹介します。
◎海外の大規模試験で発症を約24%低減
65歳以上の約3万2千人を対象にした海外の比較試験では、高用量ワクチンは標準量ワクチンに比べ、インフルエンザの発症を約24%減らしたと報告されています(出典は記事末尾)。また、肺炎や入院のリスク低減も期待されています。
とくに75歳以上の方は、インフルエンザをきっかけに肺炎や心不全の悪化、入院につながりやすい年代です。そのため、国は免疫がつきにくい75歳以上を対象に、高用量ワクチンを定期接種の選択肢に加える方針を決めました。
◎60〜74歳の方はどうなる?
一方で、60〜74歳の方がエフルエルダを希望する場合は、原則として全額自己負担の「任意接種」となる見込みです。なお、従来の標準量ワクチンは、これまでどおり65歳以上の方が定期接種で受けられます。
75歳以上の方
エフルエルダを定期接種(公費助成)で選択できる見込み(2026年10月から)
60〜74歳の方
エフルエルダは任意接種(全額自己負担)となる見込み。従来ワクチンは65歳以上なら定期接種
■名古屋市の公費助成はどうなる?【現時点では準備中】
ここが皆さまの一番気になるところだと思います。結論からお伝えすると、名古屋市におけるエフルエルダの自己負担額や従来ワクチンとの選択の仕組みは、2026年7月時点でまだ発表されていません。
◎参考: これまでの名古屋市の自己負担額
参考として、名古屋市の高齢者インフルエンザ定期接種の自己負担金は、令和7年度は1,500円でした。また、市民税非課税世帯や生活保護世帯の方などは、証明書類の提出で自己負担金が免除される制度があります。
◎詳細は夏頃に公表される見込み
エフルエルダ導入後の自己負担額や、従来ワクチンとの選択制・価格差の有無については、名古屋市が現在準備を進めている段階です。例年のスケジュールから考えると、夏頃には詳細が公表されるものと当院では見込んでいます(あくまで見込みであり、正式な内容は名古屋市の発表をご確認ください)。
公表され次第、当院のブログや公式LINEでも改めてお知らせします。
■副反応と接種時の注意点
新しいワクチンと聞くと、副反応が心配になる方も多いと思います。エフルエルダで知っておきたいポイントを整理します。
◎接種部位の反応がやや出やすい
エフルエルダは成分が濃いぶん、接種した部位の「痛み」「腫れ」「赤み」といった局所の副反応が、従来のワクチンより出やすい傾向があります。ただし、こうした反応は免疫が働いている証拠でもあり、通常は数日以内に自然に治まります。
◎こんなときはご相談を
一方で、高熱が続く、腫れが広がり続ける、息苦しさが出るといった場合は、接種した医療機関やかかりつけ医に早めにご相談ください。ごうホームクリニックの患者さんであれば、24時間365日の連絡体制でお受けしています。
■通院が難しい方は自宅での接種も|ごうホームクリニックの対応
「予防接種を受けたいけれど、そもそも会場や医院まで行けない」。そんなご相談を、訪問診療の現場では毎年お受けします。
ごうホームクリニックでは、訪問診療をご利用中の患者さんに対して、ご自宅でのインフルエンザ予防接種を行っています。エフルエルダの取り扱いについても、名古屋市の制度の詳細が公表され次第、対応を整えてお知らせする予定です。
なお、訪問診療の対象は、疾患や身体状況により一人での通院が困難な方です。要介護・要支援といった介護度そのものが要件ではなく、通院できるかどうかで判断されます。「通院がだんだんつらくなってきた」という段階のご相談も、名古屋市16区と日進市・東郷町・豊明市・刈谷市・知立市でお受けしています。
■よくある質問(FAQ)
ご家族から訪問診療の現場でよくお寄せいただく質問をまとめました。
◎Q1. エフルエルダはいつから接種できますか?
定期接種としては2026年10月1日から、75歳以上の方を対象に導入される予定です。実際の接種開始日や予約方法は、各医療機関や名古屋市の案内をご確認ください。
◎Q2. 74歳ですが、エフルエルダを公費で受けられますか?
現時点の方針では、公費(定期接種)でエフルエルダを受けられるのは75歳以上の方に限られる見込みです。60〜74歳の方は全額自己負担の任意接種となります。なお、従来の標準量ワクチンであれば、65歳以上の方は定期接種で受けられます。
◎Q3. 名古屋市の自己負担はいくらになりますか?
2026年度の自己負担額はまだ発表されていません。参考として、令和7年度の高齢者インフルエンザ定期接種は1,500円(免除対象世帯は無料)でした。夏頃の公表が見込まれるため、正式な金額は名古屋市の発表をご確認ください。
◎Q4. 従来のワクチンとどちらを選べばよいですか?
75歳以上の方は、体の状態や副反応の出やすさによって適した選択が変わります。一律にどちらが良いとは言えないため、かかりつけ医や訪問診療医にご相談ください。当院でも患者さんごとにご相談をお受けします。
◎Q5. 筋肉注射は皮下注射より痛いですか?
打つ瞬間の痛みには大きな差はないとされています。ただし、エフルエルダは接種後に接種部位の痛みや腫れがやや出やすい傾向があります。多くは数日以内に自然に治まります。
◎Q6. 寝たきりの親でも自宅で接種できますか?
通院が困難な方は、訪問診療の一環としてご自宅での予防接種が可能です。ごうホームクリニックでは毎年、在宅の患者さんへのインフルエンザ予防接種を行っています。まずはお電話やLINEでご相談ください。
■参考・出典
- 厚生科学審議会 予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会(2025年11月19日)にて、エフルエルダ筋注の2026年10月1日からの定期接種導入(75歳以上対象)が了承
- サノフィ株式会社「高用量インフルエンザワクチン『エフルエルダ』の定期接種化に関する声明」(2025年11月21日)
- DiazGranados CA, et al. Efficacy of High-Dose versus Standard-Dose Influenza Vaccine in Older Adults. N Engl J Med. 2014;371(7):635-645.(65歳以上約3万2千人対象、発症の相対リスクを24.2%低減)
- 名古屋市「令和7年度高齢者を対象としたインフルエンザ予防接種」(自己負担金1,500円・免除制度)
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ごうホームクリニック
院長 伊藤剛

